「父、帰る」

飯田橋でHと映画を見た。
ギンレイホールという、古風でこじんまりとした映画館である。並立してもう一つ映画館があり、右側のわき道に少し入ったところに小さい入り口がある。どうやらそちらはポルノ専門だそうで、隣の電信柱に支えられた立て看には、上映される三本立てのタイトルがくすんだ文字で記されている。とても風情がある。


父、帰るhttp://chichi-kaeru.com/
ロシア映画である。おおまかなストーリーはこうだ。念のため決定的瞬間(クライマックス)は伏せておく。
12年ぶりに家に帰ってきた父親と、小旅行することになった兄弟の一週間を描く。彼らが幼い時期から父親はどこか遠くへ行ってしまっていたため、父親の記憶はほとんどない。粗暴で頑固で掴み切れない父親の性格に心を許すことができないまま、目的もわからずに旅を続ける。ぎくしゃくした父親と兄弟との関係は、終始変わらない。そのうちちょっとした諍いから、たまっていた弟の父親への怒り・不満が暴走し、物語は取り返しのつかない結末へなだれ込んでいく・・・。


父親を引きずっていくずるずるという音や、必要最低限の会話しかしない様子からうかがえる、兄弟の静かな混迷。
冷たく不穏な気配を感じさせる音楽。
重たく波打つ水の映像、ヌタリヌタリと響くその音。
クライマックス以降は、ゆっくりとした展開と映像がそういった兄弟の「瞑想」を感じさせる。(すこし恐怖を伴う感覚である。)
前半の、いつまで続くのかと思わせる長い長い「ぎくしゃくした親子」の描写には、さすがに眠くなることもあったが、その描写が結末にこれほどの意味を持たせていたのだということに最後になって気づいた。これが監督の計算なのだとしたら、この映画は本当に巧い。

映画の写真集が出てるくらいだから、この監督は相当映像に自身がおありなのだなーと思って見ていたのですが。流石。風景や画面の構図にとてもセンスがある。エンディングで一枚ずつ写される写真などは、物語を振り返る一方で、奇妙な後味を消さずにそのまま終わらせてくれる。←誤解していただくと困るのだが、これは煮え切らない・・・不満などという感覚では決してなくて、「奇妙な後味」というなかなか価値のあるもの。
ミニシアターの醍醐味ってやつを感じた。


映画館から出ると、男子高校生2人が隣の映画館の前で入るか入るまいか迷っていた。「ここまで来たんだから入ろうぜ・・・」って、片方が言ってるのが聞こえる。そうだよ、入っちゃえよー。って小声でつぶやいた。
外は既に暗く、ひたすら寒い。


その後、客のいないモスで夕飯をとる。いろいろ話す。
そこで夢の話になったので思い出したのだが、
先日、二人の女の子の背中を撫でている夢を見ました。とても綺麗な背中でした。ええもちろん、その気は皆無だと思っているので、思わず自分を疑いました。



なんか今日は下ネタばっかでごめんなさい。


そういえば先ほど、七之助君が公務執行妨害で逮捕されたと・・・。最近の私の七之助への傾倒ぶりをご存知の方からは電話などいただいて、唖然としました、ショック大きい。。。