文化庁メディア芸術祭 2F3F

 
ここでは、イメージ的にはデジスタに出てくるようなインスタレーション作品やデジタルアニメなどの上映、芸術祭で表彰された創作作品の展示などがされている。確かにどれもため息が出るほど完成度も高く、美しい作品だが、流石受賞作品だけあって、なじみやすいものが多かったと思う。(自由創作だと、ときどき作者の人格を疑うような恐ろしい作品が出展されることがある。)
一番好きだったのはこれだ。スクリーンに地球儀が映しだされていて、手前にある2Mほどの長さの棒を操作して軸を操り、地球儀の面に内側から線を引いていくというインスタレーション作品。緯度経度と大まかな大陸、地球の中心点を写した、無駄の省かれた映像によってあらわされた地球が、すごい勢いで近づいたり離れたりする様子に、目を奪われる。まるで自分が鳥になり、地球の内側(空洞)をマッハで飛んでいるみたいな気分にさせられる。内側から地表を見上げるのである。不思議な感覚だったが、頭がすっきりしてくるような、気持ちのいい感覚だった。
また、アニメーション部門での受賞作品に「夢」というのがあって、これは本当にツボだった。白黒の、最もお金がかかってなさそうに見える作品。10分ほどの長さだが、その間に主人公は「目が覚めて、布団から身を起こす」のみを繰り返す。布団から出さえもしない。しかし、頭の中ではくだらない俺問答がいくつも繰り広げられているのだ。
例えば、悪夢をみたという記憶はある。
しかし、詳しい内容は覚えていない。
「怖かったー」ことは覚えている。
犬が出てきた気がする。
怖い犬だった?ような気がする。
追いかけられた?ような気がしないでもない。
もうよくわからない。
そこまで超怖いというわけではないが、とにかく「怖かった」のには変わりない。
とりあえず、夢でよかったじゃん俺、「超ラッキー」
というような、くだらないものからちょっとシュールな俺問答までを描く。
しかし、よく考えてみれば超現実的なのだ。実際私たちはこういうくだらないことについて本気で考えたりしている。笑える。さえない声がすごくいい味をだしている。